精密治療precision

根管治療【歯内療法】とは

根管治療とは、歯の根(神経)の治療のことです。歯科の分野では歯内療法(しないりょうほう)という、大切な歯を抜くことなく噛めるように機能させていくことを目的とした歯科の一分野です。

根管治療が必要な歯とは、進行した虫歯による神経の痛み(歯髄炎)や、これまでに治療した神経の治療が再発を起こし歯ぐきの中に膿が溜まった状態(根尖性歯周炎)が挙げられます。

根管治療を行った歯は、大きな虫歯や度重なる根管治療のために、歯の崩壊が著しいことが多く、歯根破折(抜歯が適応)というリスクが常に付き纏います。そのため治療は最小の治療介入かつ最大の効果を得ることが望ましいとされております。

保険診療と自由診療

保険診療とは、健康保険等の公的な医療保険制度が適用される診療のことです。病気によって治療内容や使用薬剤等が定められており、その制限内で診療を行わなければなりません。医療費については、公的健康保険制度に加入している場合、医療機関の窓口で診療費用の3割(現役世代の場合)を支払えばよいことになっています。 一方、自由診療とは保険診療が適用とならない、もしくは本来健康保険が適応される治療を含めた全額自己負担の診療のことを指します。 根管治療における自由診療の例として、保険診療で直接覆髄法でのみ適応とされるMTA※1という材料を、その他の用途で使用した場合等が挙げられます。その場合、MTAの材料費だけではなく、保険が適応となる一連の根管治療も含めすべてが全額自己負担となります。

保険診療における根管治療の問題点

日本の根管治療の成功率は諸外国と比較し著しく低いと報告※2されています。 この成功率の差を、まるで保険診療そのものが悪いと耳にすることがありますが、国民皆保険制度(いわゆる保険診療)とは、国民すべてに平等な医療を受ける機会を保証した素晴らしい制度です。一方で、各診療行為に対して請求できる医療費も決められていることから、医療者側からみた費用対効果の悪い診療について技術的進歩が遅れたことも事実です。日本の根管治療の成功率は医療を提供する者の責務の問題であり、制度そのものを悪しきとする理由になりません。

当院が自由診療における根管治療を導入した理由

ここで紹介する精密根管治療とはいわゆる自由診療(保険適応外)のことです。 当院で提供する精密根管治療は自由診療だから高価な器具・薬剤を一様に使用するのではなく、患者さんと向き合う時間を重視しております。近年の歯内療法の技術的進歩は、これまで抜歯が適応とされていた歯の保存的治療をもたらしました。しかしながら、器具・材料は臨床技術や経験に代わるものではなく、治療目標を達成するための付属品です。このことを念頭におき、当院の精密根管治療は個々の患者さんに応じた慎重な治療計画を選択し、包括的な治療を実施したいと考えております。

当院で精密根管治療を行う歯科医師

昨今、医療機関の広告を見ると「~学会専門医※3」といった記載を目にする機会が多いように思います。しかしながら専門医とは、「神の手をもつ医師」や「スーパードクター」などを意味するものではありません。現在では、「それぞれの診療領域において適切な教育を受け、十分な診療技能を修得し、患者さんから信頼される標準的な専門医療を提供できる医師」とされています。多田歯科医院における精密根管治療の施術は、高度医療機関において日常の歯科臨床のほとんどを歯内療法(根管治療)に従事しており、歯内療法に対して強い関心、高い臨床実績と経験を有する歯科医師が担当しております。

当院でマイクロスコープを3台保有し、歯科医師・歯科衛生士が使用しています。

  • EXTARO300
  • OpMI pico MORA/S100
  • Next Vision
  • 精密根管治療をお考えの患者さんへ

    当院で提供する精密根管治療は単に医療技術だけでなく、治療に関する情報提供や痛みを含めたケアまでを実践したいと考えております。根管治療にお困りの方は一度ご相談にお越しください。


  • ※1: MTA(Mineral Trioxide Aggregate)とは、生体親和性と封鎖性に優れた歯内療法用材料です。
    諸外国では歯内療法領域で多岐にわたり使用されておりますが、日本では健康保険法で直接覆髄法(歯髄保存療法)のみ認可されております。
  • ※2: 日本の根管治療の成功率は2~5割程度との報告があります。一方諸外国では、8~9割以上の成功率であるとされております。
  • ※3: 医療法で規定される広告可能な歯科専門医は5つだけです。(日本歯内療法学会専門医は広告不可)
  • テレスコープ(拡大鏡)

    正確な診断と治療のために、テレスコープ(拡大鏡)を用いています。

    多田歯科医院では最高性能テレスコープ「サージテル」をとりいれ、患者さまの大切な歯を守っています。

    テレスコープ(拡大鏡)

    口のトラブル 見逃しません! 〜1倍の世界観からの脱却〜

    人間は35歳を過ぎると目は衰えてきます。そして42歳を過ぎたころ急激に老眼を感じ始める人が増えてきます。かくいう私も去年から老視が始まり、本を読む時に難儀を感じております。しかし仕事となるとそうは言っていられません。丁寧な説明や「お・も・て・な・し」の姿勢はむろん大事なことですが、綺麗な削り仕上げはやはり歯科医師としての腕の見せ所です。もちろん患者さんには判らないところですが、求められる治療クオリティーに応えるためには必要な装備なのです。

    私が歯科用拡大ルーペを使用しはじめたきっかけは先輩歯科医師からのアドバイスであり、フレームはOakleyであるSurgitel社の拡大鏡を最初に購入しました。時は30代半ばのいけいけどんどんの頃、各種勉強会に参加し、グレード(参加費ともいう)が上がる程、周囲の受講生の筒の長さがどんどんと長くなっていく。負けじと私の筒の長さもピノキオの鼻のように伸びていく。そうなると周囲も巻き込まれ勤務歯科医、歯科衛生士全員が今では全員拡大鏡のお世話になっています。コックさんの調理師帽みたいなものです。

    その歯科用拡大ルーペが日本にメジャー輸入されたのは1996年、当時は拡大ルーペは目が悪くなったら使うものと多くの歯科医師が思っていました。欧米では学生から使っているこの歯科用ルーペを誰よりも早く手にしたイノベーターは歯科医師会の集まりなどで拡大ルーペの話をすると「そんなの何の意味があるのか」「若いのにもう目が見えなくなったのか」など言われたものだそうです。今やある私立歯科大学(残念ながら母校ではない)では三年生の教材として購入を義務づけたり、臨床実習で使われたりしている。又研修歯科医を終えていよいよ一人前の歯科医師としてスタートするときにこの拡大ルーペを標準装備として準備する若者はそんな珍しい存在ではなくなってきました。

    ベテランの歯科医師はよく心眼で見えるという。長い経験と体験によって想定できるもしくは想像できるということだが、それはどこまで行っても感(センス)で治療している領域を超えることはできません。見えないのであれば老眼鏡をかければよい。しかしそれではどこまで行っても一倍の世界観です。拡大鏡を使用することにより、被せ物をつけたときの接着剤の取り残しや、それによる歯肉炎やむし歯の再発防止、根の治療時の汚染物質の取り残し防止、ひび割れなどの発見など身近な臨床に多いに役立ちます。

    なお、老眼の度数が増える前に早めの導入が好ましい。それは目の毛様体が順応できなくなるからです。若いころから体を鍛えていればある年齢になっても走れるが何もしていない人はベテランの領域になったとき突然は走れないのと同じことであります。

    当歯科医院では歯科医師、歯科衛生士全員が拡大鏡という小さなモノを大きく見える眼鏡タイプの道具を使用して診療しています。プロはプロの道具を選ぶそれが毎日の診療で常に使える状況にもっていく条件だと私は思います。

    多田 祐介

    寄稿:静岡歯科医師会広報誌に掲載した文を転載しました。

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