静脈麻酔・静脈内鎮静法

静脈麻酔・静脈内鎮静法

静脈麻酔・静脈内鎮静法とは

治療に伴う不安や緊張を取り除く方法です。点滴をして、静脈に鎮静薬を注入することで意識を無くすことなく、不安や恐怖心のないリラックスした状態で歯科治療ができる方法です。
全身麻酔とは違って意識がなくなることはありません。
また、静脈内鎮静法には健忘作用(薬が効いている最中のことを忘れる作用)があるため、治療中の嫌な記憶が残らない場合が多くあります。

全身麻酔との違い

全身麻酔では意識がなくなり、意識が消失すると自然と呼吸をしなくなります。  静脈内鎮静法は意識がなくなるわけではないため、自発呼吸が可能です。

意識 なくなる なくならない
自発呼吸 できない できる
回復時間 数時間 30分から1時間

リスクや副作用

静脈内鎮静法は安全性の高い方法であり、多くの患者様に使用されていますが、まれに呼吸や血圧に影響する場合もあります。そのため、鎮静法についての正しい知識・経験を持った医師が立ち会うことが必要です。 治療中は麻酔専属歯科医師(日本歯科麻酔学会 歯科麻酔認定医)が患者様の状態を観察しております。また、緊急事態にも対応できるよう、設備面においても万全な体制を取っています。

起こりうる合併症

ふらつき、呼吸抑制、気道閉塞、嘔気、肺炎、アレルギー
重篤な合併症(アナフィラキシーなど)が生じた場合には、処置を中断し当院での応急処置もしくは高次医療機関を紹介させていただくことがあります。
*は頻度が非常にひくいもの

治療の流れ

step1問診票の記載

一人ひとりの患者様に応じた術前の処置を決定するため、正確に記載いただきます。

  • 過去にかかった、あるいは現在かかっている病気について
  • 内服されている薬について伺います。
    特に以下の薬を飲んでいる患者様は詳しくお話を伺う場合があります。
    ・降圧薬 ・抗不整脈薬・抗血栓薬(血を固まりにくくする薬)・睡眠薬・抗痙攣薬・抗精神病薬・ステロイド・糖尿病治療薬など
  • 今までに受けた手術や麻酔があればその理由や状況について伺います。
  • アレルギーの有無(食べ物、薬、喘息など)を伺います。

step2処置当日

絶飲絶食(お食事と飲水の禁止時間)・・・必ずお守りください!
処置中に万が一、胃の内容物をもどしてしまった場合、これが気管に流れてしまうと重い肺炎を起こすことがあります(誤嚥性肺炎といいます)。安全に処置を行うためには、胃の中を空にしておくことがとても大切です。
指定された時間以降は飲んだり食べたりしないよう注意してください。

禁食時間:処置開始時間より6時間前は禁食となります。 
禁水時間:水、お茶は2時間前まで、それ以外は禁食時間と同じです。

step3来院時

  1. 診察室のチェアーにご案内した後、血圧計や、酸素モニターを装着します。
    場合によっては心電図の装着や、鼻から酸素を投与させていただきます。
  2. 準備が整った後に点滴をとります。
  3. 点滴から鎮静薬が入り、リラックスした状態になったところで処置を始めます。
  4. 治療中は日本歯科麻酔学会 歯科麻酔認定医が患者様の状態を観察しております。 万が一全身状態に変化が発生した際にも、呼吸や血圧・脈拍に対しての応急的な治療が可能なように器具・薬剤を準備しておりますのでご安心ください。重篤な合併症(アナフィラキシーなど)が生じた場合にはよっては、処置を中断し、当院での応急処置もしくは高次医療機関を紹介させていただくことがあります。

step4治療終了

鎮静薬の影響でふらつきやすくなることがあります。治療終了後30分から1時間を目安に全身状態を確認し、問題がなければ帰宅していただきます。 当日お車や自転車の運転はできません。
帰宅後もその日はできるだけ安静にしてください。


【担当医師】橘 継国 (歯科医師/歯学博士)

  • 東京歯科大学卒 血脇賞受賞
  • 東京歯科大学大学院(歯科麻酔学)卒業
  • 市川総合病院麻酔科 医科麻酔研修修了
  • 日本歯科麻酔学会認定医
  • 勤務日:非常勤